三大天然美林の位置を再確認!

今回は日本国内において「美林」と呼ばれる3つの森林についてまとめてみました。

人工林と天然林、原生林の違い。

はじめに森林の呼び方としてよく聞く「人工林」「天然林」「原生林」についてざっと確認しておきます。

日本は国土の68.5%、約2/3にあたる2510万㏊が森林であって、先進国の中ではフィンランド(約72%)、スウェーデン68.7%に次いで第3位の森林率の高さを誇っています。(※国連食糧農業機関FAO調べ)

にもかかわらず、いろいろと大人の事情?で輸入材に頼りまくっている現状がありますが、それはさておき、現在、国内の森林のうち約4割が人工林、5割が天然林、あとの1割は伐採の跡地や将来植える予定で未だ何もない土地、または竹林となっている土地で、これを「無立木地(むりゅうぼくち)・竹林」といいます。

人工林とは木材として使用することを目的に、人の手によって種を蒔いたり苗木を植え付けたり、間伐したりして計画的に木の育成を管理している林で、場合によっては「育成林」とも呼ばれます。

一方、天然林とはもともと自生によって発芽、育成してきた森林のことをいいます。

しかし、天然林といえども全く人の手がノータッチかといえばそうではなく、たとえば鎌倉時代から江戸時代の建築ブームに木材調達のため大量に伐採したり、山火事などにより焼失された土地もあり、とくに戦後の高度経済成長や無計画な宅地開発などのため大量に伐採した結果、その多くは一度は枯渇し、その後、人が規制を加え管理している森林です。
1度枯渇した天然林を天然林として回復させるには成長する過程においては自然の力にまかせることになるため、100年~200年は人が間伐することも許されない状態になります。
その間は林業などの商業利用も許されません。
そういう意味では実に中途半端な状態となるのが天然林で、森林全体の約5割を占めています。

では、本当の意味で全く人の手が入っていない森林はないのか?というとそれが「原生林」になります。

原生林は森林全体の5割にあたる天然林のうちの4%ほどしか残っていないそうですから屋久島や小笠原諸島の土地本来の植生や生態系が維持されている土地はとても貴重なわけで、世界遺産登録などで保護の動きがみられるのですね。

それでは人工林、天然林の違いが分かったところで日本の三大美林と呼ばれる森林をみていきましょう!!
 ※一般に三大美林と言えば次の3つが挙げられますがこれらはすべて天然林です。

青森のヒバ林

青森天然ヒバ林

出典;
https://www.pref.aomori.lg.jp

通常、青森ヒバと呼ばれるものはヒノキ科のヒノキアスナロといった名もあり、一見、ヒノキと似ているのかと思いきや、一般に「ヒノキ」とよばれている木とは違うようです。

「ヒノキアスナロ」は青森を含む北海道から関東北部までに分布するものを指し、単に「アスナロ」というと本州の高い山地や四国、九州に分布するものを指します。

ヒバ(ヒノキアスナロ)のうち80%が青森のヒバ林に分布していますが、16世紀後半から当時の藩主によって厳しく守られてきたことで今も尚、三大美林のひとつとしてその美しさが保たれています。

ヒバの中でも特に青森ヒバ(ヒノキアスナロ)はスギやヒノキ等に比べ、その生長スピードが3倍ほどかかり、直径70センチほどになるまでにおよそ300年ほどもかかり、成長が遅い分、きめ細かい素材となり、木目も美しいのですが、その最大の特徴として「ヒノキチオール」という低毒性ながら非常に抗菌作用の強い成分が多く含まれている点です。

そのため建材として使う時の効果として防水、防腐、防虫効果も高く、シロアリなどの忌避作用も併せ持ち、高級材として扱われてきました。

青森ヒバの相場として、とある木材店では芯なし節ありの柱材、4000*105*105で18000円/1本で売られていました。 もっとも普及されているスギの建材で4000*105*105だと4000円/1本程度から売られていますので、そこからもその高級さがわかります。

また、青森ヒバは古くから城や寺社仏閣などに使われ、有名どころでは岩手県にある平泉中尊寺の金色堂などがそれにあたります。

出典:東北森林管理局

秋田のスギ林

秋田 天然スギ林

出典:http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/

今では全国各地で目にするスギ林ですが天然林としては秋田のほか、屋久島が有名です。他にも佐渡島大佐渡小杉立・舟山天然スギ林や高知県の魚柳瀬スギ天然林などがあります。

そんななかでも秋田の天然杉は古くは豊臣秀吉の時代から城の修復、城下の整備などにわざわざ都まで運ばれて使用されていたようです。

特に1602年以降、大量に伐採され、もともと原生林だったスギ林は約100年間で切り尽くされます。
その後秋田藩は山林を一定区域に分け、伐採順序を決め、30年ごとに順番に切り出す「番山繰制度」、択伐後に実生をそだてる天然林方式など、再びおよそ100年間の試行錯誤の末、美林を蘇らせたのでした。

天然秋田スギは人工林に見られるように間伐などは行われていない上、秋田の厳しい気候も重なり、成長はゆるやかなため、年輪の目が細かく、赤みは強く、非常に美しくバランスの取れた木目となり、爽快な香りがあり、強度的にも住宅の建材として十二分な木材として重宝されると当時に桶や樽、曲げわっぱなどの伝統工芸品の材料としても利用されています。

しかし、近年の資源量の減少から天然の秋田杉の供給は2012年に停止されたため、現代では「秋田スギ使用」と言えば人工林で育った杉を使ったことになります。

また、スギは日本にしか生育していない固有種で枝と葉の形質から主に太平洋側に分布する「オモテスギ」と日本海側に分布する「ウラスギ」に別けられ、両者は遺伝的に違いがあるとされていますが、秋田のスギはウラスギにあたります。

出典:東北森林管理局 

木曽(長野)のヒノキ林

木曽谷 天然木曽ヒノキ林

出典: http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/

木曽のヒノキ林は室町時代から伐採され、鎌倉時代には主に寺社の建造物に使われつづけ、その後戦乱がおさまると各城下町を中心に建築ブームもあり、江戸時代に入ってまもなく枯渇してしまいました。

その後、尾張藩は木材資源をいつまでも減らさずに供給し続ける山林づくりを目指すため、厳しい森林保護政策をはじめます。
その厳しさは「ヒノキ1本首ひとつ」といった掟もできたほどです。
抜き刈りを行いながらも太い木を育てていく「六十六年一周之仕法」と呼ばれる技術を駆使し、ついには美林を復活させることに至りました。

木曽のヒノキは山の傾斜が険しく、雨が多く寒さが厳しい自然環境のため、生長に時間がかかるため、他の地域のヒノキに比べて成長に2倍近くの時間を要します。

その結果青森ヒバ、秋田スギと同様で木目が細かい材木になるのが特徴です。また、弾力性があり、美しい白い色を長期間保つことができるのも木曽ヒノキの特徴ですが近年、木曽のヒノキ林に問題が生じているようです。

もともとヒノキは老木になっても簡単には枯れませんが、近年の択伐の方法では生態系の破壊を考慮し、切り抜き率は20~30%のとどめていたようです。

しかしこの割合ではヒノキの苗が育つほどの日光が不十分で、代わりに日陰に強く、生命力のあるアスナロが多く育ち始め、ヒノキを脅かす存在となっている、ということです。

以下、中部森林管理局のサイトより一部抜粋

 現状では後継樹の自然発生が期待できないことから将来が懸念される状況にあります。このため、200~300年先を見越し、今から次世代の木曽ヒノキ林を育成していくことが必要となっているのです。

引用:中部森林管理局http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/

~省略~ また、木曽谷は日本三大美林の一つ、木曽ヒノキの産地として全国にその名が知られており、現在でも林業・林産業が木曽谷の主要産業となっています。

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出典:中部森林管理局

最後に

三大美林についてまとめてみましたが、今回調べてみて大きな発見となったのは、今「美林」として一般に認知されている林ですが、それぞれに抱える問題もあり、特に木材として安定供給できているのは三つのうち、青森ヒバのみ、と言うこと。これは個人的に意外でした。

それから調べていてついでに分かった事ですが、国内の木材自給率は平成29年時点で国内供給量の30%程度であること。

昭和30年に94パーセントだったところから平成12年で18パーセントまで下降し、少し上がってはいますが、これは針葉樹合板などの木質材の原料に国内材が使われるようになってきたのが要因のようです。

もはや天然美林には木材供給をあてにできる状況でない今、他の天然林や多くの人工林はすでに伐採できる時期にある、とのことなので、数字が上がるのが良いのか悪いのか、はともかく今後の国内自給率に注目したいと思います。

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