針葉樹・広葉樹と落葉・常緑の考え方
「木」について調べ始めると、
だいたい次の言葉にぶつかる。
針葉樹。
広葉樹。
落葉樹。
常緑樹。
聞いたことはある。
たぶん学校でも習っている。
でも、いざ木製家具の話になると、
これらの言葉は急に頼りなくなる。
このページは、
木の知識を暗記するためのものではない。
木材をどういう軸で考えればいいのか。
そのための地図だ。
木材の分類は「二つの軸」で考える
木はよく、次の二つで分類される。
- 落葉樹/常緑樹
- 針葉樹/広葉樹
ただし、この二つは
同じレベルの話ではない。
落葉樹・常緑樹
これは、
木がどう生きているかの話だ。
どんな環境で育ち、
どんな季節をどうやり過ごしているか。
針葉樹・広葉樹
こちらは、
木の中身がどうなっているかの話になる。
水をどう運び、
どんな細胞構造を持ち、
材になったとき、どう振る舞うか。
まずは、
この二つを混ぜないことが大事だ。
落葉樹と常緑樹
葉を落とす理由、落とさない理由
落葉樹は、
寒さや乾燥など、
生育に不利な季節をやり過ごすために葉を落とす。
いわば、
一度リセットする戦略だ。
一方、常緑樹は、
葉を落とさず、
少しずつ入れ替えながら一年を通して光合成を続ける。
こちらは、
継続する戦略。
ここで重要なのは、
落葉するかどうかは、
家具材としての優劣を直接決めない
ということだ。
これはあくまで、
その木がどんな環境で生きてきたか、
という話だ。
針葉樹と広葉樹
家具の話になると、ここが効いてくる
家具用材として考えると、
より重要になってくるのは
針葉樹か、広葉樹かという分類だ。
理由は単純で、
木の中身の構造がまったく違う。
硬さ、重さ、
木目の出方、
経年変化、
塗装との相性。
こうしたものは、
針葉樹と広葉樹の違いが深く関係している。
ただし、
この話を始めると長くなる。
詳しい話は、
別の記事に譲ることにする↓
針葉樹と広葉樹。家具に向いているのはどっちか?
ここでは、
「家具の話になると、この分類が効いてくる」
ということだけ押さえておけば十分だ。
見た目で判断すると、たまに裏切られる
「針葉樹=針みたいな葉」
「広葉樹=平べったい葉」
このイメージは分かりやすい。
だが、あまり信用しすぎると痛い目を見る。
たとえば、イチョウ。
葉はどう見ても広い。
だが分類上は針葉樹だ。
ここで分かるのは、
木の分類は見た目よりも
生体を重視して決められている
ということだ。
材料になったあとの木材は、別の分類で見る
ここまでの話は、
いわば「木としての分類」だった。
しかし、
家具を作る側の視点に立つと、
もう一つ、かなり実用的な見方が出てくる。
それが、
- 環孔材
- 散孔材
- 半環孔材
という分類だ。
これは、
木が生きていたときに
水をどう通していたか、
つまり 道管の並び方 による区分で、
材になったときの見た目に強く影響する。
環孔材
年輪のはじまりに、
太い道管がはっきりと並ぶタイプ。
ナラやクリ、ケヤキなどがこれにあたる。
板目を見ると、
年輪の境目が強く出て、
いかにも「木らしい顔」になる。
散孔材
道管が年輪全体に、
比較的均一に散らばるタイプ。
ブナやカエデ、サクラなどが代表例だ。
木目はおだやかで、
均一で落ち着いた印象になりやすい。
半環孔材
環孔材と散孔材の中間的な性格を持つもの。
ウォールナットやチークなどが
よく挙げられる。
派手すぎず、
地味すぎず、
家具材として扱いやすい表情を持つ。
針葉樹は、この分類には当てはまらない
ここで一つ、
誤解されやすい点がある。
環孔材・散孔材・半環孔材という分類は、
基本的に広葉樹に対するものだ。
針葉樹には、
広葉樹のような「道管」という専用の器官がない。
水も、強度も、
ほぼすべて仮導管が担っている。
そのため、
針葉樹をこの区分に当てはめることはできない。
では、針葉樹は何を見るのか
針葉樹の場合、
材としての性質や見た目に効いてくるのは、
- 早材と晩材の差
- 年輪幅の広さ・狭さ
- 晩材の割合
- 成長環境
といった点だ。
同じスギでも、
年輪が詰まったものと、
そうでないものでは、
重さも、硬さも、表情もまるで違う。
針葉樹は、
樹種よりも
育ち方の違いが顔に出やすい木材だ。
まとめ
家具用木材を考えるときは、
- 木としての分類
(針葉樹・広葉樹/落葉・常緑) - 材としての分類
(環孔材・散孔材・半環孔材 ※広葉樹) - 成長の違い
(早材・晩材 ※主に針葉樹)
この三つの視点をもつと
用途に応じて使い分けしやすい。
木材の分類は、
覚えるためにあるわけではない。
考えるための手引きだ。
このページは入口にすぎない。
ここから先は、
用途別・樹種別の記事で
必要なところだけ拾っていけばいい。
名前よりも、
中身を見る。
それが、
家具用木材と付き合うときの
いちばん確かなやり方だと思う。
