合板の歴史について確認します。
合板発祥のきっかけ
合板がつくられ始めたのはいつからか?
調べてみても正確にははっきりしていませんがおおよそ、情報をまとめると紀元前3500年前~1500年前の古代エジプトに始まったようです。
当時は〔薄く剥いた板を木材などの表面に張り合わせたもの〕だったそうですが、この合板がつくられたきっかけは、良質な木材の不足を防ぐためで、内部は質の悪い木材でも表面のみ綺麗な材を張り、この問題点を合理的に解消していたと考えられています。
これは現代でも同じです。
そして今では何と言うことのない様に思える合板製造の技術。
よく観察していくと木材の表面を真っ平らにする技術だったり、ぴったり剥がれないように張り合わせる接着材の存在、さらにはその圧着技術など、合板には多くの技術が駆使されているからこその産物となっているわけです。
合板の経緯
合板製造の技術は古代エジプト時代から長い年月をかけ徐々に手工業として発展していきます。
主にヨーロッパに於いてのローマ時代、ルネッサンス時代には、家具やドアに合板を使用していたことが分かっています。
そして1797年にイギリスの海軍技術者、サミュエル・ベンサムは世界初、合板製造装置についての特許を申請。
その後、19世紀初め頃、ノーベル賞の祖であるアルフレッド・ノーベルの父で実業家のイマニュエル・ノーベルがロータリーレースで得られた単板を使い、合板を開発しました。
19世紀中頃には最初のロータリーレース機械がアメリカ合衆国に設置されて以降、世界中で工業化が始まります。
一方日本では1907年(明治40年)、名古屋にいた浅野吉次郎という人物が独自にベニヤレースを開発し、そこから工業化されていったため、合板製造に関しては名古屋が中心となり全国に広まっっていきました。
初期の合板から現在
創生期の合板では大豆グルー、ミルクカゼイン、膠(にかわ)などの接着材が使われていましたがその品質は、特に耐水性の悪いものでした。
用途としては茶箱、楽器、家具の製造に使用されていましたが、合板=剥がれる板と言ったイメージが持たれていました。
その課題が克服されたのは1950年(昭和25年)頃、※ユリア(尿素)樹脂系の接着材が開発されたことに始まり、その後もメラミン樹脂系、フェノール樹脂系が開発され、用途は建築用材にまで広がりました。
※合板の用途別、接着剤の区分は『普通合板ってどんな合板? 特類、1類、2類の意味は?』のページで確認できます。
合板と無垢材の使い分け
現在、合板は建築業界に限らず、家具業界でも無くてはならない存在となっています。
同時に今、日本は世界でも上位に位置する合板生産国であり、アメリカ・中国に次ぐ合板消費国でもあります。
構造用合板を始め建築に合板を使用することはコストや加工性など、その使い勝手の良さという利点が大きいかと思いますが、忘れてならないのは「合板=100%自然素材ではない」事です。
私達の生活環境はもはや、プラスティックを代表とする多くの化学合成物に囲まれたものとなっていて、それらは心にも身体にも与える影響は計り知れません。
合板創生期と比べれば確かに品質は向上していますが、合板の問題点(ホルマリン臭やホルムアルデヒドなど)は皆無ではないため、私達は選ぶ際に今一度慎重に考えるべきかと思います。
妥協せざる得ない部分は多々ありますが、せめて木製家具を選ぶ時には、是非とも無垢材のものを取り入れたい。私はそう考えています。