合板というのは、
薄い木の皮を何枚も貼り重ねたものだ。
その「皮」のことを単板という。
この単板、どうやって剥いているのか。
そこを知らないと、合板を知っていることにならない。
今日はそこんとこをはっきりと言語化してみようと思う。
単板の切削方法
合板を構成する単板の切削方法は、主に2つある。
ひとつは
ロータリー単板
もうひとつは
スライスド単板
名前だけ聞くと、
どこかのカフェのメニューのようだが、
やっていることはとってもシンプルだ。
ロータリー単板
普通合板に使われるのは、
ベニヤレースという機械で丸太をぐるぐる回して剥く方法。
丸太を大根の桂剥きのように、
ぐるりと一周、ずっと剥いていく。
だから幅の広い単板が取れる。
ただし。
柾目や追柾といった
「木目を選ぶ」という贅沢はできない。
取れるのは基本的に板目。
実用重視。
効率優先。
まさに合板界のエース。
スライスド単板
一方、スライサーで削るのがスライスド単板。
丸太や角材をスパッとスライスしていく。
短冊切りに近い。
こちらは板目、柾目、追柾、
好きな木目を選べる。
ただし幅は取れない。
つまり、
- ロータリーは「広いけど選べない」
- スライスドは「選べるけど広くない」
この違いが、
家具向きか構造向きかを分けている。
合板の顔は、
単板の切り方で決まる。
合板の原木
いまホームセンターに並んでいる針葉樹合板。
杉やヒノキを使った国産材も、
すっかり当たり前の顔をしている。
だが国内で本格的に針葉樹合板の製造が始まったのは
1990年代半ばから。
それ以前、
高度経済成長期の主役は熱帯雨林産の広葉樹。
ラワン、メランチ。
節が少なく、加工もしやすい。
合板にとっては優等生だった。
しかし。
優等生は減っていった。
広葉樹は人工林として再生しにくい。
成長も遅い。
結果、森林は枯渇していく。
そしてそれはもはや過去形になった。
そこで目を向けられたのが針葉樹。
針葉樹は人工林として管理しやすい。
再生可能資源として扱いやすい。
ロシア産カラマツ、
ニュージーランド産ラジアータパイン。
そしてついに、
国産杉。
2002年の林野庁の新流通システム事業、
製造機械の技術革新、
杉向き加工装置の開発。
それまで難しいとされていた国産杉合板が、
ようやく本格化する。
2008年には国産材使用率が54%まで上昇。
森は急には変わらないが、
制度と機械は割と早く変わる。
木製家具に使われる合板
さて、家具の話。
構造用合板やコンパネは、
強さ重視。
国産針葉樹で問題ない。
だが、家具は少し事情が違う。
表面が荒い針葉樹合板では、
繊細な箱物や塗装仕上げには向かない。
そこで登場するのが
JAS規格でいう「普通合板」。
以前まとめた
⇒ 普通合板とは?
の記事もあわせて読んでほしい。
家具製作でよく使われるのは、
- ラワン合板
- シナ合板(ラワン心材+シナ突き板)
- シナ共芯合板
とくにシナ共芯は、
木口まで美しい。
無垢材至上主義の人には
少し嫌われがちだが、
合板は合理のかたまりだ。
反りにくく、狂いにくく、
幅広を安定して取れる。
そして表面の化粧単板を変えれば、
見た目は無垢と変わらない。
木目は樹種の数だけある。
つまり、
可能性も無垢材の数だけある。
合板は妥協ではない。
選択だ。
どう使うかで、
ただの板にもなるし、
名脇役にもなる。
家具屋にとっては、
なくてはならない存在である。


