ファイバーボードの種類とその性質。 使用上の注意点は?

木材

ファイバーボードの種類や加工上の注意点を調べました。使用の際のご参考になればと思います。








ファイバーボードの種類と記号

ファイバーボード(繊維板)は密度、用途及び製法によって

  1. インシュレーションボード
  2. MDF (ミディアムデンシティファイバーボード)
  3. ハードボード

に大別されています。
さらにそれぞれの中でも区分があるので1から見ていきましょう

1.インシュレーションボード

インシュレーションボードの区分では次の表のようになっています。

記号区分密度(g/㎤)主な用途
T-IBタタミボード0.27未満畳床用
A-IBA級インシュレーションボード0.35未満内装下地、断熱用
S-IBシージングボード0.40未満外壁下地用
参考:JIS A5905 2014

また、難燃性による区分ではすべて難燃3級、記号は「難燃3」と表記されます。

2.MDF

MDF材は家具業界では割と耳にする事の多い材料です。調べてみると実はファイバーボードの一種でした。

  MDFは普通MDFと構造用MDFに分けられ、表裏面の状態でも次のような記号で表記します。

種類区分記号密度(g/㎤)主な用途
普通MDFG-MDF0.35以上家具、造作
構造用MDFS-MDF0.70以上構造用
参考:JIS A5905 2014

区分記号表裏面の状態
普通MDF(素地)RN両面が素地の状態で、無研磨のもの
RS両面が素地の状態で,研磨したもの
普通MDF(化粧)DV素地 MDF の両面又は片面に化粧単板を接着したもの
DO素地 MDF の両面又は片面に合成樹脂系シート,フィルムなどを接着したもの
DC素地 MDF の両面又は片面に合成樹脂塗料を焼付硬化又は印刷したもの
構造用MDFRN両面が素地の状態で、無研磨のもの
RS両面が素地の状態で,研磨したもの
参考:JIS A 5905 2014

また、曲げ強さではそれぞれ5,15,25,30N/㎟以上で区分され、接着剤の区分ではユリア樹脂系(U)、ユリア・メラミン共縮合樹脂系(M)、フェノール樹脂系(P)で区分されています。

強度はU<M<Pの順なので家具や内装ではUタイプで大丈夫ですが、外壁や屋根の部材などではPタイプが向きます。

ホルムアルデヒド放散量では「F☆☆」、「F☆☆☆」、「F☆☆☆☆」の3等級に区分され、それぞれ平均値_最大値の量が規定されています。

その量は順番にF☆☆が1.5mg/L以下_2.1mg/L以下、F☆☆☆が0.5mg/_L0.7mg/L、F☆☆☆☆は0.3mg/L以下_0.4mg/L以下となります。

さらに難燃性では「難燃2級」と「難燃3級」に区分されます。

ファイバーボードの中でMDFは家具の材料として非常に重宝されているようです。

フラッシュ構造の芯材にしたり塗装仕上げにすればその姿は見えないので、一般消費者からするとあたかも木製品のように思っている方も多いかも知れません。

でも実態は植物質繊維を一度パルプ化したものを固めているので、木の特性は全く持っていません。

効率性と経済面で多用されているのだと思いますがその質感はどちらかというと紙に似た感じもします。
やはり使用するには表面処理を施した方が良さそうです。

余談ですが、「無印良品」の商品にMDF小物収納など、「MDF」を商品名に入れているものをみつけました。

無印商品

出典元:無印良品 https://www.muji.net/ (画像クリックで外部リンクへ)

外側(表面)には突き板を張っているようですが、引き出し内部にはMDFをそのまま使っているようです。
MDFの使用例としてご紹介させて頂きます。

3.ハードボード

ハードボードの記号、密度は次のようになっています。

記号密度(g/㎤)主な用途
HB0.85未満
0.80以上
建築、梱包など
参考:JIS A5905 2014
1)油,樹脂などの特殊処理,表面の状態による区分

ハードボードは、油や樹脂などの処理をしていないものを「スタンダードボード」(記号:S)、無処理のものは「テンパードボード」(記号:T)というように区分されています。

その上で、それぞれの表面状態によって次のように記号がつけられます。

油、樹脂などの特殊処理による区分表面の状態による区分記号
スタンダードボード(無処理)素地ハードボード未研磨板RN
研磨板RS
内装用化粧ハードボードDI
テンパードボード(処理)素地ハードボード未研磨板RN
研磨板RS
外装用化粧ハードボードDE
参考:JIS A 5905/2014
2)曲げ強さによる区分

曲げ強さによる区分ではS20<S25<S35=T35<T45となり単位はN/㎟となります。

3)難燃性による区分

難燃性による区分では「難燃2」と「難燃3」のみです。

ファイバーボードの性質

対水分

ファイバーボードの性質は製造方法や比重によって大きく異なりますが、基本的に、無垢材より水分の吸湿の割合は小さいです。これは製造時に高温で熱処理されているためです。

また、湿度が飽和状態の寸法変化率では厚さ方向の変化が長さ方向の変化より30%も大きくなります。

つまりファイバーボードは水分の増減に対して厚さ方向の寸歩変化が大きく、この事が原因で板面の波打ち現象が現われやすいのが特徴で、注意点でもあります。

とくに両面にファイバーボードを使ったフラッシュパネルでは十分に水分管理に気を使わなければならないようです。

パーティクルボード同様にこれも表面はしっかりと化粧材で仕上げた使い方をするべき材料といえそうです。

対熱

木質材料のなかでも軟質繊維板は断熱、保温効果が優れているので、保温材料として天井などに多く利用されています。

その他の性質

曲げ及び、引張り強さでは含水率が4~5%で最大値を示し、含水率が低下するほど強さが増します。

比重は大きいほど増すのでハードボードが曲げ及び引張り強さに強く、特に動的な衝撃(瞬間的に外力が加わる力)に対しては静的なそれより75~100%も上がります。

ただし、ハードボードは材質が固く、刃物の摩耗性も大きいのが特徴で加工性は良くありません。切断には超硬合金を付け歯した丸鋸が適しています。

最後に

ファイバーボードの用途は幅広く、建築から家具にとどまらず、車両や船舶、電気機器のキャビネット、玩具、キャンバスなどあらゆる造作物に使う事ができます。

中でもMDFは家具、内装によく使われていて、例えば装飾が施された幅木や、フレーム類を量産する場合には都合の良い材料といえそうです。

ただし、湿度には弱いためしっかり、化粧材で全ての面(裏表木口面)に化粧材や塗装処理防水紙を張るなどしなければなりません。

他の対策として使用する二~四日前から予め水分を与えてすこし湿潤させ(水打ち)、湿って柔軟なうちに加工や取り付けを行うことで加工後の波打ちを防ぐのに有効です。

個人的にはファイバーボードでつくられた家具はいかにも量産品といった雰囲気がにじみ出ていて、デザイン的にもあまりよくできたものはないと思っていますが、とりあえずの安価な家具には多量に使われているのが現状です。

※他の木質材料についてはこちら







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