天然林と人工林、原生林の違い

天然林、人工林、原生林 木製家具関連

森林というものは、ざっくり言うと
「天然林」「人工林」「原生林」
この三つに分類される。

名前は素朴だが、中身はなかなか一筋縄ではいかない。

今日はそのことについてまとめてみようと思ったりしている。


日本の森林率

まず、日本は森だらけの国である。

国土の約68.5%、
面積にして約2510万ヘクタールが森林。

数字で見ると、
人間が森の隙間に住んでいるともいえることに気づく。

国連食糧農業機関(FAO)の統計によれば、
先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次いで第3位。

森林界の銅メダル保持国である。

ところが、である。

木材自給率は平成29年時点で約30%。

森はある。
木も立っている。
だが材は輸入する。

この静かな矛盾。

事情は複雑だが、
輸送エネルギーや環境負荷の観点から見れば、
あまり胸を張れる状態でもない。

それでも近年は、
国産針葉樹、主に杉を構造用合板などに活用する技術が向上し、
自給率は少しずつ巻き返している。
と、この国のお上的には仰っているが果たして。。

合板の話は別記事で詳しく書いているので、
興味があれば
「普通合板とは?」
「コンパネ・構造用合板・普通合板の違い」
も読んでほしい。

森の話と合板の話は、実はきちんと地続きだ。

さて、日本の森林の内訳。

約5割が天然林、
約4割が人工林。

残り1割は、伐採跡地やこれから植える予定地、
あるいは竹林。

これを「無立木地・竹林(むりゅうぼくちちくりん)」という。

なんともな名前だが、
森の循環の途中段階でもある。


人工林と天然林の違い

人工林とは、人が管理する森。

苗を植え、間伐し、
木材として使う未来を想定しながら整えていく。

いわば、計画された森。
用途が明確な森。

育成林とも呼ばれる。

一方、天然林。

もともと自然に芽吹き、
自然に育ってきた森。

ここで重要なのは「もともと」という部分。

天然林といっても、
現代において完全に人の影響ゼロというわけではない。

鎌倉から江戸にかけての建築ブーム。
戦後の高度経済成長期。

木は大量に伐られた。

一度枯渇し、
その後に自然更新した森もある。

それでも、自然の力で再生した森は天然林と呼ばれる。

人工林との違いは、
管理の濃度にある。

人工林は常に人が関わる。
天然林は、回復過程に入るとほぼ自然任せ。

その期間は100年から200年。

人間の世代が二回入れ替わるほどの時間。

その間、商業利用もほぼできない。

経済的に見ると、
じれったい存在だ。

しかし時間を味方につけた森は、
単なる材木の集まりとは違う表情を持つ。

家具材としての広葉樹の多くも、
こうした天然林に由来している。

国産・外国産広葉樹を比重順でまとめた記事もあるので、
「家具向け広葉樹図鑑|気乾比重順まとめ」
もあわせてどうぞ。

森の性格は、材の性格になる。


原生林とは

では、本当に人の手が入っていない森はあるのか。

ある。
それが原生林。

ただし、ほとんど残っていない。

天然林全体のうち、わずか4%程度。

森の中の聖域である。

屋久島や小笠原諸島の森がその代表例。

そこでは土地本来の植生と生態系が
ほぼそのまま維持されている。

人間が脇役になる場所。

世界遺産として保護されるのも当然だろう。

森は資源であり、
経済であり、
そして時間の堆積でもある。

人工林、天然林、原生林。

名前は三つだが、
流れている時間の質はまったく違う。

木を削る仕事をしていると、
その時間の違いが、
年輪の密度や重さになって手に返ってくる。

森を分類することはできる。
だが森そのものは、分類よりもずっと大きい。

だから今日も、
板を触りながら、
その木がどの森から来たのかを少しだけ想像する。

そして、自分の想像力の無さに驚愕したりもする。

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