桐の産地ってどう違う?南部桐・会津桐・備後桐をざっくり整理してみる

桐の主要産地 木材

桐の産地について、まとめておこうと思う。

……と書き出してみたものの、桐という木は妙なやつである。
軽い、柔らかい、燃えにくい、湿気を吸って吐いて、虫も寄せつけにくい。
なんだそれは、万能選手か。ずるいだろう、と言いたくなる。

そんな桐だが、「どこの桐か」で評価が変わるのもまた事実。
今回は材料としての桐の主な産地を、ざっと整理していく。

なお、桐箪笥の産地と特徴については別でまとめているので、興味があればそちらも見てほしい。

南部桐

岩手県産を中心とした桐。

木目はやや太めで、アクが少なく、乾燥すると銀白色の光沢が出る。
そして特徴的なのが、はっきりとした筍模様。

昔から下駄材として使われてきたのも納得である。軽くて加工しやすく、それでいてそこそこ丈夫。
履き物としては理想的な性格だ。

江戸後期には下駄需要の高まりとともに、久慈港から江戸・深川木場へ大量に出荷されていた記録もある。
ちなみに当時は山形や秋田、福島の桐もまとめて「南部桐」として扱われていたらしい。

ざっくりしている。だがまあ、そういう時代だ。

会津桐

福島県西部、会津地方で育つ桐。

ただしここがややこしい。
会津で育った桐すべてが「会津桐」ではない。

木目が細かく、整っていて、仕上げると美しく艶が出る。
そういう「出来のいいやつ」だけが会津桐として扱われる。

さらに言うと、最も高級とされるのは三島町周辺。
半径10kmほどの限られた地域の材だけが、本当の意味での会津桐とされる。

なんかもうついていけない節もあるが、そうらしい。

会津桐の歴史は古く、江戸時代に藩主・保科正之によって桐の植林政策が出されたことが始まりとされています。その後も継続的に研究と植林が行われてきました。

つまり、ただ生えていたわけではなく、「育てられてきた桐」なのだ。
それが品質の差につながっているのだろう。

備後桐

岡山と広島の県境あたりで産出される桐。

この地域は府中家具で知られる一大家具産地。
その流れの中で桐も重要な役割を担ってきた。

府中では桐箪笥、福山では琴、松永では下駄。
同じ桐でも、土地によって役割が分かれていくのが面白いところだ。

材料は同じでも、「どう使うか」で文化が分岐する。
木工って、結局そこだよなと思う。

その他の産地

他にも新潟県や茨城県などで植林されており、現在でも桐箪笥の材料として使われている。

ただしブランドとして語られることが多いのは、やはり会津や南部あたりになるだろう。

最後に

桐という木は、スペックだけ見ればかなり優秀だ。
軽いし、狂いにくいし、防虫性もある。

ただし、見た目は地味である。
そして柔らかい。傷もつきやすい。

つまり、優秀だが、万能ではない。

そのクセをどう扱うかで、材料としての価値が決まる。
そして産地によって、その「クセの出方」が少しずつ違う。

だからこそ桐は面白いし、だからこそ昔から使われ続けてきたのだろう。


桐以外の木材については、こちらでまとめています。

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