木質材料の種類

木材

一言に木製家具といっても、実はその材料には様々な種類があり、一般の消費者にはその実態がよく分かりにくいものですよね。
ここでは、丸太から板状に製材したままの無垢材以外で木材と呼ばれるもの。これを業界では木質材料と呼びますが、どんなものがあるのか一覧にしてみました。









合板(ごうはん)

合板(ごうはん)は19世紀中頃にアメリカでその生産用機械が設置されて以来、世界中で安価な資材として一気に広まりました。
丸太を薄くスライスする技術と、より強度な接着剤の開発によって生まれた材料です。
薄い板を張り合わせることによって自由に広い面積の板をつくることができ、こうすることによって、天然の無垢材の欠点でもある節、やにつぼ、割れ等が分散したり、取り除かれたりします。

JAS(日本農林規格)では合板を以下のように分類しています。

  • 普通合板
  • コンクリート型枠用合板
  • 構造用合板
  • 化粧ばり構造用合板
  • 天然木化粧合板
  • 特殊加工化粧合板

多種多様な合板ですが、基本的には普通合板が一般的によく知られていて「ベニヤ板」という呼ばれ方をしていますね。
ただし正確にはベニヤというのは単板(たんぱん)を意味しますから合板をつくる前段階のものを指します。
ホームセンターなどで目にする合板を思い浮かべて頂くとわかりやすいでしょう。

普通合板について詳しくはこちら

その普通合板の表面に各種天然木の突き板を貼って無垢材に似せたものを「天然木化粧合板」といい、実際に製作現場では「○○の突き板張り」とか「○○化粧合板」などと呼んでいます。(○○には材種がは入ります)

合板の性質

合板は基本的にクロスバンド構造(単板を直交に貼り合わせる)のため、吸湿や放湿による板方向の収縮や膨潤は無垢材に比べ極めて少ないですが、厚み方向では無垢材同様に収縮、膨潤します。また、その割合は接着材の影響を受けるので使用する接着剤の種類によっても多少異なります。

クロスバンド構造によるもう一つの特徴は、無垢材の繊維方向による大きな強度的な差が発生しないところです。

例えば無垢材の板の引っ張り強さは、繊維方向と直交する方向とでは約10~20倍もの差が生まれます。
でも合板ではほとんどこの方向による差がないので、使用に当たって考慮する必要なく、扱いやすい上、強度を得られるのが合板の最大の利点とも言えるわけです。




 

パーティクルボード

パーティクルは英語で小片(しょうへん)を意味しますので、この場合木材の小片、木材チップを合成樹脂接着剤を混ぜた上で熱圧してつくる板状の材料を指します。
チップの大きさによって見た目や強度に違いがありますが、無垢材の持つ各種の個体差や割れ、やにつぼなどの欠点が改善される上、小径木、木っ端、廃材などを有効利用できるのが特徴です。
大きめのチップでつくられた板に小さいチップでつくられた板を挟むように積層したものなどもあり、多様なパターンが可能なので、JISではその分類を主に次のように区分しています。

  1. 表裏面の状態による区分
  2. 曲げ強さによる区分
  3. 接着剤による区分
  4. ホルムアルデヒドによる区分
  5. 耐水性による区分

パーティクルボードの特徴として、水分を吸いやすい点が挙げられます。湿度に対する寸法変化は板面方向よりも厚さ方向に多く、一般に木材の2~3倍とされています。
このような性質から、パーティクルボードを使用する場合はそのまま使うのでは無く、表面及び小口面に何かしらの単板、合板、プラスティックの化粧材などを張って使うか、塗装を施して使用することとなります。

さらにパーティクルボードについて詳しくはこちら

ファイバーボード

ファイバーボード(繊維板)は木材やサトウキビの搾汁後の残りかす(バガス)からとれる植物質繊維を原料として、これを細かくパルプ化し、接着剤を加え、人工的に板状にした材料です。

パーティクルボードよりもさらに細かい繊維状にした原料なので水分の吸湿は少ないですがやはり湿度に対する寸法変化は板面方向より厚さ方向に大きいのが特徴です。この材料もパーティクルボード同様、単体では使用せず、オーバーレイ材料(単板、合板、プラスティックなど)を張って使用します。

さらにファイバーボードについて詳しくはこちら

積層材(LVL)

木材を薄くスライスしたものを接着材で重ねて貼り付けていく所は合板と同じですが、合板が直交方向に重ねるのに対して積層材は繊維方向を平行に接着していきます。
その他にも合成樹脂接着材を使用し、素材全体の衝撃強さが、より平均化する特徴があります。積層材の吸湿性は少ないため変形の程度が小さく、寸法が安定した材料でもあります。

積層材は単板積層材(たんぱんせきそうざい)と硬化積層材(こうかせきそうざい)に分けられます。

これ以外で普通「積層材」と言えば、例えば80角の角材を使いたいけど手持ちの材料に80㎜以上の厚みの材料が無ければ20㎜×80㎜の材料を4本積層して80㎜×80㎜を得ることがあります。この方法は木工業界ではよくやっている事ですが、これもある意味では積層材といえます。
ですのであまり「積層材」という言葉を特定の木質材料の種類として使うことはそう無いと思います。

さらに積層材について詳しくはこちら

集成材

木材は不均一性及び吸湿性と、それに伴う変形などの欠点がありますが、これらの欠点を無くした上で、より無垢材の利点を生かせる(木質材料の中では性質上最も無垢材に近い)のがこの集成材ではないでしょうか。

挽き板(ひきいた)や小角材などを繊維方向に平行して、長さ、幅及び厚さ方向に接着材で集成接合してつくります。
比較的私達の身の回りでそのまま目に触れる部分にも使われているので分かりやすいと思います。

集成材は大別すると

  • 構造用集成材(主に建築物の強度用)
  • 造作用集成材(主に内装・家具用)

に分けられます。

また、JAS(日本農林規格)では形状によっても通直集成材湾曲集成材に分けています。

集成材の特徴として次のようなものがあげられます。

  1. 木っ端などの小さな部材で長大な材料をつくることができる
  2. 挽き板やブロック状の材料が持っている欠点を分散し、狂いが少なく、強度の大きい材料にすることができる。
  3. 断面寸法を変えたり、用途に応じた強度を配置できるので、経済的にも効率がよい
  4. 挽き板の乾燥が容易なので、素材のままの乾燥上の欠点を避けられる
  5. 挽き板を曲げて接着することで、湾曲した材料もつくることができる

これらはすべて利点と言える部分です。
では集成材は万能で欠点はないのでしょうか?

私が個人的に思う集成材の欠点は2つあると思います。

一つ目の欠点はやはり木質材料の宿命で接着材を大量に使用するところでしょう。
近頃の接着材は「環境に優しい」とか謳っていても、「環境や健康に良い」わけではありませんし、健康被害も皆無では無いと思います。

そしてもう一つ最大の欠点はずばり見た目が悪いところだと思います。

主観ですから気にならない人には問題ないのですが、なにせ小さな木っ端を寄せ集めたものですから、建築材としてならともかく、家具や内装仕上げで集成材を使うのは無垢材や突き板張りを使用した場合とは比較にならないほど見劣りすると思っています。

さらに集成材について詳しくはこちら

その他の木質材料

その他の材料としては、ここまで見てきた木質材を応用的に組み合わせて、言わば二次加工によりつくられる材料があります。
これらを総じて、「特殊合板」としますが、長くなりますので特殊合板については別の記事にまとめてあります。

特殊合板について詳しくはこちら

 








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