木材屋でも、ホームセンターでも、現場でも、
プロでない限り、合板を前にするとだいたいこんな会話が発生する。
「これ、コンパネでいいですか?」
「いや、構造用じゃないとダメじゃない?」
「ラワン合板じゃダメ?」
全部、板だ。
全部、合板だ。
見た目もだいたい同じだ。
だがこの三つ、
名前が似ているだけで、役割も性格もかなり違う。
今日はこの
コンパネ/構造用合板/ラワン合板(普通合板)
という、よく混同される三兄弟を、
なるべく真面目に、でも真顔になりすぎないように整理する。
コンパネ(コンクリート型枠用合板)
コンパネとは、
JASで定められている
「コンクリート型枠用パネル」 の略だ。
用途ははっきりしている。
コンクリートを流し込むための板。
それ以上の役割は、基本的に期待されていない。
性格を一言で言うと
コンパネは、
雨の中に放り出されても黙って耐えるタイプだ。
- 屋外使用前提
- 濡れるのが仕事
- 見た目や精度は二の次
耐水性はとにかく重視される。
逆に言えば、
「長くきれいに使う」ことは想定されていない。
コンクリートが固まったら、
型枠を外され、
役目を終える。
コンパネは、
使い捨て前提の、割り切った人生を歩む板だ。
構造用合板
構造用合板は、
建築物の 壁や床、屋根 など、
建物そのものを支えるための合板だ。
性格を一言で言うと
構造用合板は、
建物の中で一生働き続ける公務員タイプ。
- 強度は数値で管理され
- 湿気への耐性も考慮され
- 釘やビスの効きも計算されている
派手さはないが、
いなくなると建物が成立しない。
見えないところで、
淡々と仕事をする板。
その代わり、
用途の自由度は低い。
ラワン合板
(普通合板の一種)
ラワン合板は、
いわゆる 普通合板 の一種で、
主に 造作・家具・什器 などに使われる。
戦後の日本では、
普通合板といえばラワン材、
というくらい大量に使われていた時代があった。
その名残で、
今でも
「普通合板=ラワン合板」
というイメージを持つ人がいる。
ただし重要な話
「ラワン」とは、
特定の樹種の名前ではない。
これは
[ラワンの正体]の記事でも詳しく触れているが、
ラワンとは条件を満たした木材グループの総称だ。
つまり、
ラワン合板は 中身の振れ幅がとにかく広い。
性格を一言で言うと
ラワン合板(普通合板)は、
自由業タイプ。
- 性能に幅がある
- 価格差が激しい
- 使い方次第で当たりにも地雷にもなる
コンパネや構造用合板と比べて、
用途も性格も一番バラつく板だ。
普通合板について詳しくはこちらの記事で深堀している。
三兄弟を一発で例えると
- コンパネ
→ 雨の中で働く日雇い作業員 - 構造用合板
→ 建物を支える地方公務員 - ラワン合板(普通合板)
→ 才能も癖もバラバラなフリーランス
同じ「合板」という名字を持っていても、
生き方はだいぶ違う。
ちなみに「3×6サイズ」の話
ここで一つ、
地味だがおそらく多くの人を混乱させてきた話をしておく。
いわゆる
「3×6(さぶろく)」サイズ についてだ。
合板と聞くと、
多くの人は反射的に
910×1820mm
を思い浮かべる。
実際、
- 普通合板
- 構造用合板
は、この 1820×910mm がほぼ標準だ。
ところが、
コンパネをネットショップや建材屋で眺めていると、
サイズが
1800×900mm
と書かれているものがやたらと多い。
これは誤表記ではない。
ではなぜ、
コンパネだけが少し小さいのか。
理由は単純で、
板に求められている役割が違う からだ。
- 普通合板・構造用合板
→ 建築寸法にきっちり合わせる材料 - コンパネ
→ コンクリート型枠として使い切る副資材
コンパネは、
濡れて、膨らんで、叩いて外されることが前提の板だ。
精度よりも、
扱いやすさと脱型のしやすさ が優先される。
その結果、
尺換算の端数をあらかじめ逃がした
1800×900mm
という実寸で流通するようになった。
たった
20mm、10mm の違いだが、
この差には
「何のために使われる板か」
という思想が、きっちり詰まっている。
コンパネ、構造用合板、ラワン合板(普通合板の一種)の違い早見表
| コンパネ | 構造用合板 | 普通合板 | |
|---|---|---|---|
| 主流サイズ(㎜) | 1800×900 | 1820×910 | 1820×910 |
| 主流厚み(㎜) | 12 | 5.5~28 | 2.3~30 |
| 強度 | △ | ○ | ×~◎ |
| 耐水性 | ○ | ◎ | ×~◎ |
| JAS認定品の 価格相場(12㎜) | 1500円前後 | 1000~1200円前後 | 2000~5000円前後 |
※かなりザックリまとめている。
実際にはJAS規格上、
それぞれ細かな分類と製品差がある。
価格の話(現実)
ここ数年、
合板業界はなかなかのジェットコースターに乗っている。
- コロナ以降の住宅需要
- ウッドショック
- ロシアからの輸入ストップ
- 原油高
結果、
合板ショック と呼ばれる事態になった。
たとえば、
- 12mm × 910 × 1820 の構造用合板
→
2019年:1200円前後
2023年:2000円超
板が、
急に「安い材料」ではなくなった。
まとめ
見た目が似ているからといって、
中身まで同じだと思うと、
だいたい後で困る。
- 水に耐えるための板
- 建物を支える板
- 造作や家具に使われる板
合板は、名前ではなく役割で選ぶ材料だ。
どれも優秀だが、向いている場所は違う。
それさえ分かっていれば、
この三兄弟はきちんと使い分けられる。
と、思う。


