日本の伝統工芸。指物家具について!!

現代では「指物(さしもの)」と聞いてピンとくる人はどのくらいいるのでしょうか。
木工に興味があれば知っていても一般には馴染みの無い言葉ですよね。
今回は家具の中でも日本の伝統工芸品でもある「指物家具」について、その魅力に迫ります。








指物の語源

一般に、「指物(さしもの)」と聞いても、それほど浸透した言葉ではないので、何のことだか通じない人も多いと思います。

指物の由来はいくつかあるようです。

ホゾや継ぎ手によって材を組むことを昔から「指す」という表現をしていたことから「指したもの」、「指物」となったといった説が有力ですが、他にも「ものさし」を使って精度の高いものをつくる、といったことからきたという説もよく聞きます。

指物(さしもの)と一般の家具の違い

「指物」の意味をあらためて調べてみると、狭義には「日本の伝統工芸品、またはその技法」のことをいい、もう少し広い意味では「木材を釘などの締結金物を使わず組み合わせてつくられた家具や建具、調度品のこと。またはその技法」といった意味であることが分かります。

結構曖昧な部分もありますが、どちらかというと家具業界では狭義の意味での、「日本の伝統工芸品またはその技法」の意味で捉える場面が多いと思います。

あくまでも個人的なイメージですが、伝統工芸品のひとつに近い気がします。

ですから、たとえ釘などを使わず、ホゾ組でつくられていても、そのすべてが「指物家具」としては扱われていないのが現状だと思います。

かといって逆に伝統工芸士がつくったものだけが指物、と呼ぶのかというと、実際、そういうわけでもありません。
曖昧ですが、少なくとも伝統工芸的な技法を用いたつくりの家具に対しては「指物」とか「指物家具」と呼んでも私は良いと思います。

ちなみに指物の伝統工芸士を目指すのであれば指物をつくる経験を12年以上積み、伝統的工芸品産業振興協会が行っている認定試験(知識試験、実技試験、面接試験)に合格する必要があります。

日本の三大指物

先に狭義の意味では、指物=伝統工芸品のひとつ、と言いましたが伝統工芸としての指物の歴史を振り返ると日本には次の三カ所での発展が見られます。

  1. 京指物
  2. 江戸指物
  3. 大阪唐木指物

こうした指物をつくる職人は、他の戸障子などをつくる表具師(ひょうぐし)や建具職、宮殿をつくる宮殿師(ぐでんし)、神社仏閣を建てる宮大工(みやだいく)、薄い板を曲げて器などをつくる桧物師(ひものし)などともに、元は大工職から分化していったものでした。

とくに室町時代以降、急速に需要が増えていったことから、分業化が進み、より専門的に細かい細工などの技術も発展したのでしょう。

京指物

指物の歴史は京都が長く、平安時代に遡ります。
京指物は貴族文化に生まれ、朝廷や公家が主に使用したことから優雅で精緻な細工が特徴でした。
無垢板(むくいた)を用いた箪笥・飾り棚・机などの高級和家具の他、千利休を祖とした茶道文化にも、桐・杉・欅・桑などの素材を生かした箱物・板物・挽物(ひきもの)・曲物(まげもの)・桶などに発展しています。

1976年(昭和51年)6月2日、京指物は木工品として経済産業大臣指定伝統的工芸品の指定を受け、現代では調度指物、茶道指物、曲物、彫物、挽物などの技法はそれぞれに組み合わさり独自のものとなって、京都市を中心につくられています。

江戸指物

朝廷や、公家の文化から発展してきた京指物に対し、江戸指物は将軍家や大名家のほか、武家用、江戸時代中期以降に活発化した商人用、そして江戸歌舞伎役者用(梨園指物)として作られてきました。

江戸幕府は、全国から神田・日本橋周辺(大工町・鍛冶町・紺屋町)に職人を呼び集め、手工業を発達させました。
江戸指物も江戸中期以降、大工職からの仕事の細分化によって指物師が専門につくるようになっていきます。
江戸の風土的に、華美な細工は好まれず、金釘打を使わない淡泊なデザインが特徴で、見えない部分にこそ技術を駆使したり、桑、欅、桐など本来の木目が持つ美しさに渋みを与える漆塗りが好まれたようです。

1997年、5月14日に江戸指物は木工品として経済産業大臣指定伝統的工芸品の指定を受け、現代では主に東京都の台東区・荒川区・足立区・葛飾区・江東区でつくられています。

大阪唐木指物

唐木指物の特徴はまずその材料にあります。

使う材料は、極めて比重の高いコクタン、シタン、タガヤサンやカリンなどで、これらは熱帯地方で採れる木材ですが、「唐」の時代の中国から持ち込まれたことで「唐木(からき、とうぼく)」と呼ばれています。
起源は奈良時代に遣唐使によって持ち込まれた唐木製品が当時非常に珍しかったことで、国内でも唐木で指物をつくる文化が生まれたのでしょう。

安土桃山時代の茶道や書院造りの発展とともに普及したためか、つくられるのは飾り棚や茶棚、座敷机、花台が多くを占めていたようですが、現在では現在の生活様式に合うように改良されています。釘は一切使わず、仕上げは拭き漆が特徴です。

江戸時代に入ると、唐木は全て長崎に運び込まれていたものの、大阪の薬種問屋が唐木材の販売を一手に引き受けていたり、幕府の政策で、諸国の物産はほとんどが大阪に集められていたりしたことで、やがて唐木指物は大阪が中心となっていきました。
1977年10月14日、大阪唐木指物は木工品として経済産業大臣指定伝統的工芸品の指定を受けています。

今の主要製造地域は、大阪府のほかにも、兵庫県姫路市、奈良県奈良市、和歌山県有田市、福井県越前市の旧武生市域など各地でつくられているようですが、あくまでも産地は「大阪唐木指物」としてつくられています。

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その他の指物産地

他に指物がつくられている地域としては、奈良の大和指物。歴史は非常に古く天平時代から受け継がれてきた、といいます。こちらでは神代杉、春日杉、吉野杉等を中心に使い盆や卓、茶道具などがつくられています。 針葉樹を扱うのは指物では珍しいのではないでしょうか。

静岡の駿河指物も有名です。江戸時代に駿府城・浅間神社造営の際、全国各地から集められた名工が、造営後もその地に住み続け、木工技術を広めたことで指物師が育っていきました。
特徴としては雅な京指物の部分もみられますが、どちらかというと、木地を生かした漆塗り(拭き漆)など、粋で淡白な江戸指物の流れを強く残しています。

静岡ではこの駿河指物の技術が元となり、全国でも有数の家具生産地として発展してきました。

家具産地と言うこともあり、製作工程で手加工だけでなく、大型機械の利用も早い時期から積極的に利用していたそうです。

まとめ

いずれにして 指物家具と一般の家具との大きな違いは、木材の部材の加工法にあり、一般家具の多くは今や各種木質材料を用いてフラッシュ(枠組み)構造などで、部材同士の接合方法もビスやダボ、特殊金物で行うのに対し、指物家具は、無垢材を多彩な組み手、継ぎ手技法を用いているところにあると思います。

このため一つの部材に多くの工程を費やし、熟練された技術を必要とするために大量生産には向かず、結果、高級品となってきます。

しかし、そうしてできた家具は耐久性においても、見栄えにおいても一般の量産家具より比較にならないほどの価値があるのは言うまでもないでしょう。

是非とも家具を買う際、ブランド名や販売店の印象だけで選ばず、その家具がどこでどの様につくられているのか?にも注目してみて欲しいと思います。

昨今のチープで安価過ぎる量産家具によって荒らされたものの価値観はかつて私達日本人が大事にしていた「じっくりと取り組む、上質な家具づくり」の現場をもおびやかし続けています。

一般的にあまり知られていない「指物(さしもの)」ですが、呼び方はどうであれ、今こそ古くから育んできた技術でしかできないものづくりに対して、一般にもう少し見直されても良いのでは?と個人的には思います。








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