ファイバーボードとは何か。木の顔をした別の材料

木材

家具屋に行く。
「木製」と書いてある。
触る。叩く。軽い。妙に均一。木目が整いすぎている。
それ、本当に木だろうか。

今日はファイバーボード(繊維板)の話。
木をそのまま板にした無垢材とは違い、いったん繊維状にほぐしてから、熱と圧力と接着剤で固め直した材料だ。
つまり木の顔をした別の材料である。

ファイバーボードの種類と記号

ファイバーボードは密度、用途、製法によって、だいたい次の3つに大別されている。

  1. インシュレーションボード
  2. MDF(ミディアムデンシティファイバーボード)
  3. ハードボード

さらにそれぞれの中で区分があるので、1から見ていこう。
ここから先は「読む用」と「調べる用」が同居する。つまり人間に優しい。

1. インシュレーションボード

インシュレーションボードの区分は次の表のとおり。

▼ 区分表(インシュレーションボード)

記号区分密度(g/㎤)主な用途
T-IBタタミボード0.27未満畳床用
A-IBA級インシュレーションボード0.35未満内装下地、断熱用
S-IBシージングボード0.40未満外壁下地用
参考:JIS A5905 2014

また、難燃性による区分ではすべて難燃3級で、記号は「難燃3」と表記される。

ざっくり言えば、軽くて断熱寄り。建築で静かに働くタイプだ。家具の主役にはあまりならない。

2. MDF

MDFは家具業界で耳にすることが多い材料だ。調べてみると、実はファイバーボードの一種。
つまり「木」ではなく、いったん繊維にほどいて固め直した板である。

MDFは普通MDFと構造用MDFに分けられ、表裏面の状態でも次のような記号で表記する。

▼ 区分表(MDF:普通/構造用・表裏面の状態)

種類区分記号密度(g/㎤)主な用途
普通MDFG-MDF0.35以上家具、造作
構造用MDFS-MDF0.70以上構造用
参考:JIS A5905 2014

▼(補助表)

区分記号表裏面の状態
普通MDF(素地)RN両面が素地の状態で、無研磨のもの
RS両面が素地の状態で,研磨したもの
普通MDF(化粧)DV素地 MDF の両面又は片面に化粧単板を接着したもの
DO素地 MDF の両面又は片面に合成樹脂系シート,フィルムなどを接着したもの
DC素地 MDF の両面又は片面に合成樹脂塗料を焼付硬化又は印刷したもの
構造用MDFRN両面が素地の状態で、無研磨のもの
RS両面が素地の状態で,研磨したもの
参考:JIS A 5905 2014

また、曲げ強さではそれぞれ5/15/25/30 N/㎟以上で区分される。接着剤の区分ではユリア樹脂系(U)、ユリア・メラミン共縮合樹脂系(M)、フェノール樹脂系(P)で区分される。

強度は U<M<P の順。家具や内装ならUタイプでも用は足りることが多いが、外壁や屋根など条件が厳しい用途ではPタイプが向く。

ホルムアルデヒド放散量は「F☆☆」「F☆☆☆」「F☆☆☆☆」の3等級。規定は平均値/最大値で決まっている。

量は順に、F☆☆:1.5mg/L以下_2.1mg/L以下、F☆☆☆:0.5mg/L_0.7mg/L、F☆☆☆☆:0.3mg/L以下_0.4mg/L以下。

さらに難燃性では「難燃2級」と「難燃3級」に区分される。

ファイバーボードの中でMDFは、家具の材料として非常に重宝されている。
フラッシュ構造の芯材にしたり、塗装仕上げにすれば姿は見えない。だから一般の人は、あれを「木」だと思ってしまう。

でも実態は植物質繊維を一度パルプ化したものを固めているので、木の特性は全く持っていない。
均一で、加工しやすく、量産に向く。合理の板だ。
その質感はどちらかというと紙に近いところもあるので、使うなら表面処理は前提と思ったほうがいい。

余談だが、「無印良品」の商品にMDF小物収納など、材料名をそのまま商品名に入れている例がある。潔い。
(材料の正体を隠さない態度は、わりと好きだ。)

無印良品 MDF小物収納の例
出典:無印良品(画像クリックで外部リンク)

外側(表面)には突き板を張っているようだが、引き出し内部にはMDFをそのまま使っている。MDFの使用例として参考になる。

3. ハードボード

ハードボードの記号、密度は次のようになっている。

▼ 区分表(ハードボード:記号・密度)

記号密度(g/㎤)主な用途
HB0.85未満
0.80以上
建築、梱包など
参考:JIS A5905 2014
1)油,樹脂などの特殊処理,表面の状態による区分

ハードボードは、油や樹脂などの処理をしていないものを「スタンダードボード」(記号:S)、(※原文の表現はそのまま)無処理のものは「テンパードボード」(記号:T)というように区分されている。

その上で、それぞれの表面状態によって次のように記号がつけられる。

▼ 区分表(ハードボード:表面状態)

油、樹脂などの特殊処理による区分表面の状態による区分記号
スタンダードボード(無処理)素地ハードボード未研磨板RN
研磨板RS
内装用化粧ハードボードDI
テンパードボード(処理)素地ハードボード未研磨板RN
研磨板RS
外装用化粧ハードボードDE
参考:JIS A 5905/2014
2)曲げ強さによる区分

曲げ強さによる区分ではS20<S25<S35=T35<T45となり、単位はN/㎟。

3)難燃性による区分

難燃性による区分では「難燃2」と「難燃3」のみ。

ハードボードはとにかく硬い。強い。だが刃物は減る。加工性は良くない。切断には超硬合金を付け歯した丸鋸が適している。

ファイバーボードの性質

対水分

ファイバーボードの性質は製造方法や比重によって大きく異なるが、基本的に無垢材より吸湿の割合は小さい。製造時に高温で熱処理されているためだ。

ただし、湿度が飽和状態の寸法変化率では厚さ方向の変化が長さ方向の変化より30%も大きくなる。

つまり水分の増減に対して厚さ方向の変化が大きい。これが原因で板面の波打ち現象が現れやすいのが特徴で、注意点でもある。

とくに両面にファイバーボードを使ったフラッシュパネルでは、水分管理に気を使わなければならない。

パーティクルボード同様に、表面はしっかり化粧材で仕上げた使い方をするべき材料、と言えそうだ。

対熱

木質材料のなかでも軟質繊維板は断熱、保温効果が優れているので、保温材料として天井などに多く利用されている。

その他の性質

曲げ及び引張り強さでは含水率が4~5%で最大値を示し、含水率が低下するほど強さが増す。

比重は大きいほど増すのでハードボードが曲げ及び引張り強さに強く、特に動的な衝撃(瞬間的に外力が加わる力)に対しては静的なそれより75~100%も上がる。

ただし、ハードボードは材質が固く、刃物の摩耗性も大きい。加工性は良くない。切断には超硬合金を付け歯した丸鋸が適している。

最後に

ファイバーボードの用途は幅広い。建築から家具にとどまらず、車両や船舶、電気機器のキャビネット、玩具、キャンバスなど、あらゆる造作物に使われている。

中でもMDFは家具、内装によく使われている。装飾が施された幅木やフレーム類を量産する場合には都合の良い材料だ。

ただし湿度には弱い。裏表木口面を含め、全ての面に化粧材や塗装処理、防水紙などを張るなどの対策が必要になる。

他の対策として、使用する2~4日前から予め水分を与えて少し湿潤させ(水打ち)、湿って柔軟なうちに加工や取り付けを行うことで、加工後の波打ちを防ぐのに有効とされる。

個人的には、ファイバーボード主体の家具は「いかにも量産品」という雰囲気がにじみやすく、デザイン的にも惹かれないものが多いと思っている。
ただ、現代の家具市場がその合理性に支えられているのも事実だ。

※他の木質材料についてはこちら

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