無垢家具の選び方と見分け方――木製っぽい家具に騙されないために

木材

木製家具には、独特の温もりがある。
金属でもなく、プラスチックでもなく、
触ると、ほんの少し緊張がほどけるような、
確かな感覚だ。

日本は森の国だし、
家具といえば木、という刷り込みも強い。
だから多くの人が、
特に疑いもなく「木製家具」を選ぶ。

ただ、ここで一つだけ、
最初に言っておかなければならないことがある。

木製家具と、
木製“っぽい”家具は、別物だ。

見た目が木でも、
触ると木の感じがしても、
値段がそれなりでも、
中身が木とは限らない。

そして多くの人は、
そこを知らないまま買って、
数年後に「なんか違う」と言い出す。

いや、だいたい、
最初から違うのだ。

木製家具は、
大きく分けると、
2種類しかない。

  • 無垢材の家具
  • 木質材料の家具

これだけだ。

※「木質材料って具体的に何?」という人は、先にこちらで全体像を見てもいい。
木質材料とは?種類と特徴まとめ

「木を材料にしている」という点では同じだが、
考え方も、寿命も、
付き合い方も、
ほぼ真逆と言っていい。


無垢材とは何か

無垢材とは、
木を伐って、乾かして、
そのまま使った材料だ。

木は生き物だった、
という名残を、
あまり遠慮せずに押し出している。

香りがあり、
手触りが温く、
使うほどに色っぽさを出してくる。

傷がついても、
削れば戻る。

完成したら終わり、
ではない。

使い始めてからが本番
という、少し変わった材料だ。

だから無垢材の家具は、
時間と一緒に育つ。

ただし、
わがままでもある。

湿度で動くし、
ねじれるし、
節もある。

値段も、
あまり落ち着かない。

これをうまく制御するには、
作り手にそれなりの経験と覚悟がいる。


木質材料とは何か

一方で木質材料は、
無垢材の「面倒な部分」を、
なんとかしたい、
というところから生まれてきた。

木を砕いたり、
薄くスライスしたりして、
接着剤で固め直した材料だ。

合板、MDF、
パーティクルボード、集成材。

※代表格の「合板」だけでも、種類が多すぎて軽く迷子になる。
普通合板とは?特類・1類・2類とベニヤ板の正体

家具屋にとっては、
わりと当たり前の存在だ。

木質材料の特徴は、
だいたいこんな感じになる。

  • 反りにくい
  • 割れにくい
  • 色が変わらない
  • 価格が安定している
  • 大量生産できる

メーカーにとっては、
正直、ものすごくありがたい。

だから世の中の家具の多くが、
この木質材料でできている。

それ自体は、
何も不思議なことではない。


「天然木」「無垢っぽい」に気をつけろ

ここで、
一番ややこしい話をする。

木質材料の多くは、
表面に突き板を貼っている。

突き板とは、
0.2〜1mmほどに薄く剥いだ、
本物の木だ。

※「突き板=悪」ではない。ただ、知らずに買うと事故る。
(見分けポイントをまとめた)
無垢材とは?合板・突き板との違い

つまり、
皮だけは本物で、中身は別人
という状態になる。

ここで起きやすい誤解が、これだ。

  • 「天然木って書いてある」
  • 「ナラって書いてある」
  • 「高かったから大丈夫」

全部、
外れる可能性がある。

メーカーが嘘をついているわけではない。
ただ、
都合のいい言葉だけが前に出ている。

人間は、
見たいものしか見ないから。


木質材料の致命的な欠点

木質材料は便利だ。
ただし、
取り返しのつかない弱点がある。

① 風合いは戻らない

無垢材は削れる。
木質材料は削れない。

突き板が剥がれたら、
そこで終わりだ。

② 接着剤から逃げられない

大量の接着剤が使われている。

基準値以下でも、
ゼロではない。

密閉性の高い現代住宅では、
影響が積み重なる可能性がある。


それでも無垢材をすすめる理由

無垢材の家具は、高い。
これは事実だ。

でも、
飽きにくい。

流行で選んだ家具は、
数年で目が合わなくなる。

無垢材は、
目が合っても、
あまり気まずくならない。

傷も、色の変化も、
「使った証拠」になる。

結果として、
一番長く使われる。

最悪なのは高かったのに、
実は突板貼りだったケース。

これだけは避けて頂きたい。

ここで言っている「無垢材」という言葉自体、
実はかなりややこしい経緯をたどっている。
言葉の定義を一度きちんと整理したい人は、
無垢材とは何かをまとめた記事を先に読んでもいい。


大工と家具職人を、同じ棚に並べない

ここで、
どうしても一度だけ言っておきたい話がある。

その無垢家具を誰に頼むか、という話だ。

世の中には、腕のいい大工さんがたくさんいる。
段取りも正確で、仕事も早く、
何より現場での判断力が高い。

ただし、
だからといって家具を頼むと、
必ずしも幸せになれるとは限らない。

これは優劣の話ではない。
役割の話だ。

よく聞くのは家を建ててるときについでに、
大工さんにお願いした、という話だ。

しかし大工さんは、家を建てる人だ。
寸法を取り、構造を考え、
何十年も持たせることを最優先にする。

その結果どうなるかというと、
出来上がる家具はだいたい、

  • とても丈夫で
  • とても真面目で
  • とても動じない

そして、
とても重くて、
とても角張っていて、
とても表情がない

置いた瞬間、
部屋が一段、静かになる。

「チーン」

という音と共に
デザインというより、
決意みたいなものが前に出てくる。

一方、家具職人は、
家具だけを考えている。

触られること、
眺められること、
使われ続けること。

必要以上の強度よりも先に、依頼主の好みとデザインを重視する。

だから、
同じ木を使っても、
出来上がるものはまるで違う。

どちらが正しい、という話ではない。
ただ、家具を頼むなら、
家具のことばかり考えている人の方が、
話は早い。

あくまでもそういう傾向がある、
ってことで。


無垢家具の探し方

おすすめは、
だいたい三つに落ち着く。

  • 家具産地を探す
    (旭川、飛騨、大川、府中など)
  • クラフトフェアに行く
    顔が見える。話ができる。
  • 地域名+無垢家具で検索する
    小さな工房ほど、当たり率が高い。

最後に

木製家具を選ぶということは、
素材を選ぶことでもあり、
付き合い方を選ぶことでもある。

木っぽい家具は、手に入れるのも、
価格的にも簡単だ。
でも、
簡単に手に入れたものは、
だいたいすぐ飽きる。

無垢材の家具は、手に入れるまでは
ちょっと面倒で、気難しそうだ。
それでも、手に入れてみれば
自然と気に入ってしまう。

世の中いろんな人がいるんだけど
最初から本物を選ぶ人はわりといる。

この記事を読んでそこまでたどり着いた人が、
一人でもいたらこの長い話を書いた意味は、
たぶん、あると思うんだ、僕ぁね。

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